『長門有希ちゃんの消失』 一巻 書評
『9〜14P』編
<今回の一言>

『いざ、夕食の材料ゲッツ!』 by朝倉涼子



 さて、感想の続きです。
 感想っていうか、もはや考察になってしまっている気もしますが……気にせず進めたいと思います。


 前回の続きから。
 部室に行こうとしている長門とキョンを置いて、朝倉は「ちょっと用事がある」といって先に帰るようです。
 長門が部室にはいかないの、と訊いていることから、本編では描かれていませんでしたが、普段はちゃんと朝倉も部室に行っているようですね。まあ、なんだかんだで理由をつけて、長門とキョンが二人っきりになれるように気を回しているでしょうが……。

 朝倉は「夕食はちゃんと作りに行きますから」と長門に向かって言っています。これはつまり、ずっと夕食を作りに行っているということなのでしょう。もうお前ら一緒に住んじゃえよ、とか思いましたが、ツッコミは禁止でしょうか。禁止ですね。すいません。
 キョンも部活帰りに長門を送るついでに、夕食をごちそうになるようです。このあたりのやり取りで、家主の意思が全く反映されていないところが凄いですね。すでに朝倉が長門宅の家主……というか、主導権を握っているというか。まあ、長門と朝倉の関係を考えれば、それで正しいのですが。

 朝倉が早く帰る用事というのは、どうやら買い物のためのようです。買い物……ということは、ほぼ毎日かそれに近いスパンで行うことなので……やはり朝倉は普段から部活にはあまり参加していないのでしょう。上手く長門とキョンを二人っきりにする口実を作っているというべきか……10ページの朝倉の表情を見る限りは、買い物自体を楽しんでいる主婦の顔ですね(笑)。
 そして長門とキョンが二人同時に「今日は特売日なのかな?」と同じことを考えていることから、やはりいつものことのようです。

 さて、このページにて、キョンのセリフで重要事項が暴露されています。
 キョンが文芸部に入ったのは、作中時間から僅か一週間前のことらしいです。最初の方のページであったように、長門とキョンが初めて会ったのは五月中旬のため、数か月間の時間が空いています。この間、何事もなかったのでしょうか。それにしてはかなりキョンは長門と朝倉のやり取りに馴染んでいるようにも見えますが……。しかし考えてみれば、一巻では明言されていませんが、朝倉とキョンは同じクラスのはず……この二人がある程度繋がりを持っている(慣れている)のは自然ですね。
 とはいえ、キョンにしてみれば一週間前に知り合った女の子(長門)の家に行ってご飯を御馳走になる……ということになるはずなのに「ん、了解」の一言で済ませるのもどうなのか……この世界のキョンは、色んなところが普通じゃない気がしてきました。

 それはさておき、キョンが文芸部に入ってからそろそろ一週間であることに気づき、それをふと口にしたことで、長門は「(部活に)慣れない?」とキョンのことを気にかけている様子。それに対してキョンは慣れる以前に何もしてないから、と応えます。どうやらこの世界でも文芸部は実質的な活動を何もしてないようです。
 恐らくこの先、そのことが問題になって文芸部としての活動をせざるを得ない状況に持っていかれるのでしょう(それまでに連載が終わらなければ)。つまりは原作で言う「憤慨」のネタですね。この世界の長門なら、自分の経験に基づいた純愛小説でも書きそうです。
 まあ、それはさておき、部に入った意味がない、と呟くキョンに対し、長門は何か言おうとします。が、ここで闖入者が。

 闖入者は朝比奈みくると鶴屋さんでした。この世界ではSOS団に強制加入させられるということがなかったためか、朝比奈みくるは書道部に入部したままになっているようです。鶴屋さんも書道部のようですが……原作でもそうでしたっけ? この辺り記憶は曖昧ですが、とりあえず鶴屋さんは原作よりもはっちゃけたギャグ担当になっているようです。
 気になるのはここで鶴屋さんが口にしている「少年(キョンのこと)はアプローチの仕方に問題があったにしろ」と言っているところ。この『長門有希ちゃんの消失』という作品がどういう世界観で進行しているのか不明なので、どういうエピソードがキョンと朝比奈みくる、それに鶴屋さんの間であったのかがよくわかりません。この辺りのエピソード補完は後々してほしい気もします。
(2011/09/14追記:三巻でちゃんと描かれました。良かった良かった)
 13ページの一コマ目の、涙目になっている長門が妙に可愛いです。
 しかし、眼鏡はどこいった(笑)。

 暴走鶴屋さんを止めたのは、なぜか体育教師となって登場した森園生。
 鶴屋さん、朝比奈みくる、森園生は『長門有希ちゃんの消失』においてはギャグキャラみたいな扱いになるのでしょうか。まあ、『長門有希ちゃんの消失』はギャグコメディなので、そういう要員は必要でしょうね。

 さて、今回の感想はここまでにします。
 次で第一話の感想は終わらせたいですが……その時の気分によって決まります(笑)。


『長門有希ちゃんの消失』書評 『15〜22P』編 に続く
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