『長門有希ちゃんの消失』 一巻 書評 |
『36〜39P』編 |
<今回の一言> 『力を貸して』 by長門有希 |
長門が誰かに『力を貸して』というのは原作ではないことです。 そういう意味で、この言葉は消失長門だからこそ、と言えるかもしれません。 前回の感想の続きからです。 真剣に悩むキョンの姿を見て、長門は思わず笑ってしまいます。眉毛は相変わらずハの字のままですが、消失長門ならではの表情でしょうね。 真剣に悩んでいるのに、というキョンに、ごめんなさい、と謝る長門。 その次のキョンの台詞からすると、キョンは長門が『肌を見られて怒っている』と解釈していた様子です。 長門は『ひでえな 人が謝っているのに』というキョンの発言から、キョンが怒っているのだと解釈したようです。 二人が二人ともお互いのことを気遣ったがゆえに謝りループが発生してしまったのですね。 『謝ることをしたのは〜』とキョンが言っているとこを見ると、一応悪いことをしたとは思っている様子。 でもその割にはさほど慌てていなかったようですが……。 『私もあなたを見習って真剣に話してみる』と長門は言います。 キョンは長門にいい影響を与えているようです。 一端立ち上がった長門は、入口辺りでしゃがんでいた朝倉の傍に行き、再びしゃがみます。 近づいてくるところは見ていたはずなのに、朝倉が驚いているのは、さすがにデバガメ状態だったので怒られると思ったから、でしょうか。 再びしゃがむ時の長門の顔が、微妙に上目づかいになってて可愛いです。 朝倉さんが「ふえ?」って応えているところもキャラに合ってない気はしますがいい感じではあります。 長門がクリスマスパーティを部室でやりたいのは、「文芸部が潰れないでいまも残っているお祝い」をしたいからであることが明かされます。 文芸部が潰れないで残っているお祝い、なので部室でお祝いしたいという考え方はよくわかります。 現実的なやり方をするなら――軽いお祝いは部室でして(お菓子やジュースを持ちこんで)、その後正式のお祝い(食事)は別の場所で……という形になるのでしょうけど。 『力を貸して』と言われた朝倉は、『ずるい』と言います。 確かにこの状況で言われると断り辛いですね。もしも長門が『そういうこと』を意識するような人物であれば、嫌な感じの物言いです。 ですがそこはやはり長門のことをよくわかっている朝倉さん。 自分の言動もずるいと言いつつ、協力を約束します。 『文芸部が廃部になりそうだった時も言った』と言い、『私は長門さんの保護者でもなければ姉妹でもありません』と口にします。態度とか立ち位置は完全に『保護者か姉妹』って感じですけどね(笑)。 『友達です』と言いながら額を合わせる朝倉。本当に仲良いですね。この二人は。 キラキラ輝いてるし(笑)。こんな風に信頼し合える友達が欲しかった。 いつだってあなたの味方ですよ、の台詞が、原作での長門と朝倉の関係を考えると少し切なくなりますね。 原作でも何かが違えば、こんな感じの二人になっていたのかもしれないと思うと……そういう意味で、長門有希ちゃんの消失は長門と朝倉の理想の関係が描かれていると言えるのかもしれません。 ご飯の続きにしましょう、と手を差し伸べる朝倉。 遠くで見守っているキョンがいい笑顔をしています。 最後はちょっと微笑ましい会話で二話を締めました。 シリアスとギャグがいい具合に混ざっていて、いい感じだと思います。 次ページのおまけでは、「お腹どうだった?」という地雷発言をしてしまったことに気付いた長門が頭から湯気を出している絵が描かれていました。 服がすでに着替えた後の物であることと、服の裾を持ち上げているところを見ると、恐らく食事も済んでキョンや朝倉も帰った後、お風呂に入ろうとしているところ、でしょう。 服を脱ごうとしたところでキョンとの間にあったことを思い出し、その頃には冷静になった頭で考えれば、変なことを聞いていたことに気付いた――というところかな、と。 こういう一枚絵でも背景を考えると楽しいですね。 これで二話の感想もようやく終了です。 |
『長門有希ちゃんの消失』書評 第三話 に続く |
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