護謨船




「海に行くわよ!」
 といつもの如く唐突にハルヒが言い出した。
 その唐突な発言にあっさりと古泉は、
「では、僕の知り合いのプライベートビーチを借りましょうか?」
 と、話を合わせやがる。
 しかし今回は、
「いえ、今日は古泉君の知り合いのプライベートビーチは止めときましょう。やっぱり海は人が盛りだくさんでわいわいがやがやの方が楽しいわ」
 おお、ハルヒがまともなことを言った。
「と、いうわけで、各自知り合い、友達、仲間、同志、何でもいいから適当に人を引っ張って来なさい! 団長命令よ!」
 おいおい、どんな大人数にする気なんだ。それと引っ張ってくる、じゃなくて連れてくるか誘ってくるかのどちらかにしろ。連行してどうする。
「皆それぞれ楽しむための用具は持ってくるのよ。…………あ。そうだ有希」
 ハルヒが黙々と読書を続けている長門に声をかけた。
 本から顔を上げた長門はハルヒを見る。
「今回に限り、海で読書は禁止するわ。泳ぐか他の何かをするか、考えといてね。人の楽しみ方はそれぞれだけど、やっぱり海に行くなら海で何かしないと」
 一瞬、長門の動きがフリーズしたような気がした。いや、いつもほとんど動いてないけどな。まさか読書禁止令が出るとは思ってなかったんだろう。
 しかし長門がハルヒの命令に逆らうことは無い。
 心無しか渋々と、長門は頷いた。
「よーし、じゃあ明後日の土曜日! 海に行くわよ!」
 さて、当日はどんなことになるのやら。
 今から不安だ。








 さて、当日。
 集まったメンバーをご紹介しよう。
 まずSOS団の五人。
 俺が誘った国木田と谷口、それと妹。朝比奈さんが誘った鶴屋さん。相変わらずのハイテンションぶりだ。古泉が連れてきた、というか何とか言うかの新川さんと森さんと圭一さんと裕さん。執事の新川さんとメイドの森さんは今から海に行くってのに熱そうな執事っぽい服とメイド服なんだが、登場場所間違えてないか?
 そしてハルヒは、知り合いと言える知り合いに片っ端から声をかけたらしく、阪中や喜緑江美里さん、その他コンピ研の部長を含めた部員五名を連れてきやがった。つか、反りの合うらしい阪中と、SOS団の配下となっているコンピ研はともかく、喜緑さんにまで声をかけるか、普通?
 そして俺が誰を連れてくるのか密かに気にしていた長門だが、誰も連れて来ていなかった。ハルヒも誰かを連れてくるとは初めから思っていなかったようであまり気にせず、
「じゃあこれで全員ね。ひーふーみー…………十九人か。中々の人数じゃない。それじゃあ行くわよ!」
 と、言って海水浴に出発した。
 この付近には泳げる海が無いので、(結構綺麗な浜辺はあるんだが水泳は禁止されている)ちょっと長い時間電車に乗って海に到着した。
 今はさすがに海のシーズンだけはあり、程よく海は人で埋まっている。
 とりあえず水着に着替えて集合ってことで、俺達は更衣室に向かう。
 その途中、谷口と国木田が話しかけてくる。
「キョン、今回は誘ってくれて感謝する。お前は永遠の友だ」
「僕も嬉しいな。レベル高い女の人ばっかりだもんね」
 本当は連れて来たくなかったんだけどな。団長命令でなるべく多くの人って言ってたから仕方なかった。こいつら以外に海に誘うような奴もいなかったし。
 しかし谷口、今回は、とつける辺りにこれまでの恨みとかが色々込められてるな。
 男子連中は着替えが早い。海パンにTシャツを着るだけだしな。柄の違いとかそういうのは全部割愛だ。めんどいし誰も聴きたくないだろう。
 着替えるのに時間がかかるのは女子連中だったわけだが、ただ着替えが終わるのを待っているのも非効率だということで、
「僕たちは場所を取りに行ってきます。皆さんを連れて来てくださいね」
 そう言って古泉一派はビーチの方に向かっていった。さすがは古泉。セッティングは自分の仕事だと考えているらしい。
 古泉一派が行ってから暫くして、女性陣が現れた。
 谷口と国木田は目を丸くしている。それはそうだろう。もはや地上の楽園とでも表現出来るような光景がそこには広がっていたのだから。
 俺も一瞬そちらに目を奪われかけたが、女性陣の後ろにひっそりと付いてきている長門に目がいった。ハルヒに言われた通り、海での読書用の本は持っていない。シンプルな青色のワンピースの水着を着て、手ぶらだった。読書以外に楽しむ物を見つけられなかったのだろうか。
 余計なお世話かと思いつつも、俺は長門に近づいて話しかける。
「おい、長門」
「…………」
 いつもは「なに?」とか返してくるのに、返してこないところをみると、かなり読書を取り上げられていることが効いているな。俺の方を見ている眼も若干悲しそうだ。
「あー何と言ったらいいのかわからんが」
「…………」
「とりあえず海に入るなりなんなりして、感触を確かめてみたらどうだ。プールとは水の感触が全然違うぞ。海に入るのが嫌なら、海辺で砂遊びをするといい」
 長門は俺の顔をゆっくりと見上げ、そしてゆっくりと頷き、
「…………そう」
 と呟いた。
 あまり元気がないな。心配だ。
 ハルヒよ、やはり長門から読書を取り上げたらいけなかったんじゃないか?
 そのハルヒは、やたらとハイテンションな鶴屋さんと一緒になって、色々な遊び道具と戸惑う朝比奈さんを抱え、ビーチに突進していくところだった。その後を悪ノリした谷口と国木田が続いて、ただ一人冷静な森さんは俺の妹の手を引いてくれていた。
 さすがはメイド、というべきか大人というべきか、抜かりが無い。
「それじゃあ、俺達も行くか」
 俺がそう言うと長門は微かに頷いて歩き出した。








 ビーチの方に行くと、古泉一派が海から遠くもなく近過ぎでもない絶妙の位置に、ビーチパラソルを広げてゴザを敷いていた。
「こんな良い場所が偶然空いていたんですよ、ラッキーでした」
 スマイル零円の古泉はそう言ったが、俺はお前らが何かやったんじゃないか?と疑っていた。こいつらなら浜辺のスペースを占領することくらいわけないだろう。
 まあ、好都合なので放って置くが。
「じゃあまずは泳ぐわよ! 全員、海に突撃!」
 大声で号令をかけて、ハルヒは海に飛び込んで行った。その後に古泉や朝比奈さん、鶴屋さんと妹とその他が続く。
 後に残ったのは、俺と長門と大人達だ。
「いやー元気がいいねえ。若い人たちは」
 そう圭一さんが呟き、その場に残っている『若い人』である俺と長門に目を向けた。
「君たちも遊んでくるといい。私達はもう少し休んでから海に入らせて貰うよ」
 確かにこんなところでじっとしているのも勿体無い。折角海に来たのだから。
 俺は上のTシャツを脱いで、
「行こうぜ、長門」
 頷いた長門の背を押して、海に向かった。








 ハルヒにはオモチャとして古泉や谷口や国木田やコンピ研がいて、さらに遊び相手に阪中がいるから思う存分遊んでいるし、朝比奈さんには鶴屋さんがいるから、流されないかどうか心配する必要が無く、妹は浜辺で森さんと喜緑さんと一緒に砂遊びをしているため、俺は心置きなく長門だけに意識を集中することが出来た。
 読書という最大の娯楽を取り上げられた長門が心配だったのだ。
 長門はクラゲのような緩慢な動きで海の中を泳いでいる。今回ばかりは朝比奈さんより長門が流されそうだ。
「長門、大丈夫か?」
 俺が思わずそう尋ねると、ぷかぷかと浮いていた長門は俺の方に平坦な目線だけを向けてきた。
「読書が出来なくて辛いんじゃないか、と思ったんだが」
「大丈夫」
 あっさりと長門は言ったが、とてもそうには見えない。今にも沈みそうだ。
「あまり深いところには行くなよ」
「了解した」
 すでに長門の脚は地面に着かないだろう。俺で爪先がようやく地面に着くくらいなのだから。
 もっと浅い場所に誘導するべきか、と俺が思ったその時、
「でかい波が来たぞ―――っ!」
 と、遠くの方で誰かが叫ぶ声がした。
 俺が思わずそちらの方を見ると、目の前に水の壁が迫っている。
 高い。一メートルくらいある。
 気付いたところでもはやどうしようも無く、俺たちはその波に飲み込まれた。
 少し浜の方に押されて、地面に脚が着いたがとても立ってはいられない。水中に沈んで、波の影響が消え去るのを待った。
 ようやく波の影響がマシになったところで、俺は水中の地面に脚をついて立ち上がった。
「長門っ!?」
 何よりもまず、長門のことが気になった。
 周りを見渡したが、あのショートカットの頭は見えない。
 まさか今の波に攫われたのかと思って、ぞっとした。
「長門っ!」
 俺はもう一度叫んで深いところを探しに行こうと脚を踏み出す。
 その時、
「ここにいる」
 真横に長門の無表情が浮上した。
「うおっ!?」
 波の影響が完全に消え去るまで潜水していたようだ。
「驚かせないでくれ、長門…………」
 ほっと一息吐き、俺は長門の手首を掴んだ。
「もっと浅いところにいこうぜ。危険すぎる」
「わかった」
 大人しく手を引かれる長門。
 俺は浅瀬まで来て、もう長門でも足が着くだろうと思うところで手を離した。
 それから他の奴らの無事を確認するために周りを見渡した。
 大人達が休んでいたパラソルのところまで波は届いていたようだが、素早い対応のおかげで荷物などは濡れていないようだ。ハルヒはまあ心配する必要も無い。男子も同じ。朝比奈さんは鶴屋さんが掴まえていたようだ。多少水を飲んだのか咳き込んでいるが問題ななさそうである。妹は森さんが確保していた。
 どうやら全員無事のようだ。
「よかった……」
 まあ、実際のところ、少し深いところにいた俺達や、妹みたいに波にさらわれやすい奴以外にはほとんど危険はなかっただろうけど。
 とはいえ、何が命取りになるかわからない。特に海では。毎年毎年水の事故が起きるのは、注意が足りないからではなく、まさかというようなことが命取りになるからだ。本当に危険なのは、これくらいなら大丈夫だろう、という気の緩みだ。
 常に気は引き締めておかなければならない。
 でもあまり引き締め過ぎてもなんだしな……せっかく遊びに来ているのだから、楽しまなければ損だ。
「長門。ゴムボートでも借りてみようか」
「…………」
 特に反論はあがらなかったので、俺は一度荷物のところに戻り、お金を持ってゴムボート貸家のところへ向かった。
 長門と同じくらいの大きさのゴムボートを借りる。長門を上に乗せ、俺はそれにつかまっているだけでいいだろう。
「ほれ、長門。上に乗ってみろ」
「…………」
 長門は波打ち際でぷかぷか浮かぶゴムボートの上に礼儀正しく正座して乗った。
 すごいバランス感覚が要求されているはずだが、長門は毛ほども揺るがず、見事にゴムボートと一体化している。
 乗れとは言ったが、まさか正座とは思わなかったので、ちょっと驚いた。まあ、長門がそれでいいならいいが。
 ゴムボートを引っ張り、少し浜辺からは離れた位置でぷかぷかと漂う。
「…………」
 さすがの長門とはいえ、多少は波に揺らされて体も揺れる。いや、ゴムボートの上に正座で座り続けている時点で十分凄いが。
「長門。どうだ?」
 面白いか、という意味で訊いてみた。
 長門は少し首を傾げ、冷静な分析を口にする。
「ゴムボートの上で姿勢を保ち続けるのは困難。実に不安定で姿勢の制御が大変。…………その不安定感を楽しむものなのだとしたら、いまのわたしは非常に楽しい状況下にあると言える」
 そんな硬く考えなくても……。
 でもまあ、長門らしくていいな。
 俺が苦笑して長門の乗るゴムボートに掴まりつつ、漂っていると。
「ああ――――っ!!」
 突然、なんだか聞き覚えのある声が浜の方から聞こえてきた。
 俺がそちらに視線を向けると、そこには思った通りの奴がこちらを指し示していた。
 なんなんだ。つーか大声あげながら指さすんじゃねえよ。めちゃくちゃ注目浴びてるじゃねえか。
「有希! なんて良いものに乗ってるの!! あたしにも使わせて!!」
 ばしゃばしゃと喧しく寄ってくるハルヒ。ちなみにずっとハルヒに付き合わされていたコンピ研および阪中はシートのところで休憩中のようだ。
 全くしょうがないな。せっかく長門のために借りたんだが……まあいいか。
「わかったわかった。じゃあ長門、ちょっとハルヒにかわ――」
 俺が呼びかけたから、長門はこちらに顔を向けた。心なしか重心がこちらに傾く
 その時、ハルヒがゴムボートに勢いよく寄ってきたせいで、ゴムボートが大きく揺れた。
 ハルヒが寄ってきた極――つまり、ゴムボートはただでさえこちらに重心が傾いていたのに、ハルヒの勢いでさらにこちらに重心が傾いてしまったわけだ。
 さすがの長門も――情報制御なしで――そこまで傾いては修正出来なかったらしく、ゴムボートがより大きく傾いた。
 ほとんどゴムボートからずり落ちる形で、長門が水の中に落ちる。
 盛大に水しぶきが舞った。
「ちょ、おい、長門!?」
 慌てて俺は水の中に手を入れ、長門の腕を掴む。
 水の中から引き上げると、長門は俺の腕にしがみ付いてきた。
「……少し、驚いた」
 驚いたという割にほとんど表情は変わっていないし、水を飲んだ様子もせき込む様子もないが、長門なりにかなり驚いたらしい。
 しっかりと俺の腕にしがみ付いている。
「大丈夫か?」
「平気。特に身体的苦痛などはない」
 精神的にどうかを聞きたかったんだが……まあなんとか大丈夫そうだな。
 ふと視線をあげると、俺が長門を引き上げるために手放したゴムボートを確保してくれていたらしいハルヒがこちらを何か物言いたそうな目で見ていた。
 長門が水の中に落ちたのはハルヒが原因みたいなものだったから、責任を感じているのだろう。
 心配ない、ということを伝えてやりたくて、俺はハルヒに声をかける。
「大丈夫だ。ちょっといきなりで驚いただけみたいだから。水も飲んでないみたいだし……な?」
 最後の語尾で確認すると、長門は頷いた。
 しかし、ハルヒはなおも何か口の中でもごもごと言い淀んでいるようだ。
 どうしたんだ? ひょっとして謝りたいけど上手く言えないとか?
「ハルヒ、別に長門は怒ってないと思うぞ」
 横目で長門の様子を確認したが、特に不機嫌な様子はない。
 ハルヒは非常に何か言いたそうな顔をしていたが、やがて何だか凄く疲れたような溜息を一つ吐いた。
「そう、ね……わたしのせいだし…………有希、驚かせてごめんなさい」
「大丈夫」
 ……?
 普通に謝ったな……?
 別に長門に対する謝罪が、意地で言いにくかったというわけではないのか?
 長門も別に険があるようには見えないし。
 まあ、いいか。特に問題はないだろう。
 ゴムボートに再度掴まり、長門にもゴムボートに掴まるようにいう。
 長門は少しの間、躊躇っていたようだが、俺の腕から手を放してゴムボートの方に掴まった。
 ゴムボートに掴まっていれば安全安心だ。
 ……まあ、実際には長門なら大自然の脅威など物ともしないだろうが。
 やがて再びテンションが上がり出したハルヒをゴムボートの上に乗せた俺は、ハルヒの命じる方向にゴムボートを引っ張っていく。
 俺は馬じゃないんだがな。
 だがまあ。
 ゴムボートの上で楽しそうにはしゃぐハルヒ。さすがに長門のような正坐ではない。暴れるから落ちてしまいそうだったが、そこはハルヒの卓越した身体能力で落ちるのは免れていた。
 そのゴムボートに掴まってゆらゆら海藻みたいに浮かんでいる長門。ぷかぷかあおむけに浮いていて、なんだか微妙に楽しそうだ。長門はやはり積極的に泳いだり動いたりするよりも、そんな風にじっとしているのが好きらしい。
 浜辺でやたらと巨大な城を作っている妹及び森さんと喜緑さん。……いや、もうなんか子供の砂遊びの域をとうに超越しているんだが……。あの二人、無駄にスペック高いな。
 古泉一派が確保したスペースでかき氷やら何やらを食べながら休憩しているコンピ研やら阪中やら。
 古泉や国木田たちは泳ぐ速さの競争をしているらしい。
 そしてたくさんの楽しそうな海水浴客たち――。


 がやがやと賑やかで、やかましく、けど心地よい場所。
 海も悪くない。








 ゴムボートにも飽きてきたハルヒが、復活したコンピ研達で遊びに(『と』ではないところがポイントだ)行ってしまった後、俺は再び長門にゴムボートの上に乗るように言った。
 長門は今度は正座ではなく、あおむけにゴムボートの上に寝る。どうやらさっきゴムボートに掴まってぷかぷか浮いていたのが結構気に入ったようだ。
 俺は長門を乗せたゴムボートを引っ張って適当な水域を歩きながら、独り言を呟いた。
「やっぱ、ゴムボートを借りて正解だったな……」
「なぜ?」
 おっと、聞こえたか。
「いや、こういうのがあったほうが安心だろ? 掴まってれば溺れたり流されたりしても大丈夫だし。お前も掴まるものがあった方が安心だろ?」
 俺の問いかけに対し、長門は少し考え、頷いた。
 そうだろうそうだろう。俺の考えを理解してくれて嬉しいよ。
 自分の考えが通じた喜びに、思わず感動した、のだが。
「でも、わたしはあなたの方が安心できる」
 続けて長門がそんなことを言ったために、驚いて思わず水に沈んでしまった。
 慌てて海面に浮上し、せき込みながら長門を見る。
「な、ながと? それはどういう……」
「……ゴムボートは確かに安全。突然の不測事態が発生した場合、ゴムボートがあるとないとではその差は生存率に直結する」
 淡々と言う長門。
「ただ、ゴムボートは自らこちらを掴んではくれない。こちらから掴まなければ、力を貸してくれない」
 長門は俺を見据えて。
「でも、あなたは、自ら掴んでくれる」
 だから。


「わたしは、あなたの方が安心できる」


 …………。
 信じて頼ってくれているというセリフにも取れるが、取りようによっては便利な道具と認識されているとも取れるな。言葉だけを考えるなら。
 だが、まあ。
 実際どっちの意味かなんて――考えるまでもなくわかることだ。
「……そうか。ありがとよ、長門」
 それじゃあ、お前の信頼に応えるようにしないとな。
 助けることはゴムボートにだって出来るけど。


――助けたいと思うことは、人にしか出来ないのだから。











『護謨船』終
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