『長門有希ちゃんの消失』 一巻 書評
『帯・折り返し・カバー裏』編
<今回の一言>

『これはスピンオフとかじゃなくて、もはやリビルドだよね』 byハルヒの編集さん



 感想は続くよどこまでも。
 今日も今日とて『長門有希ちゃんの消失』について徹底検証……もとい、徹底感想を書いていきたいと思います!
 ちなみに、『長門有希ちゃんの消失』のキャッチコピーは上記の言葉になるようです。

 スピンオフ、というのは、まあ、要は派生作品のことであり……ライトノベル読みに分かりやすい言い方をすると『とある魔術の禁書目録』における、『とある科学の超電磁砲』のことです。
 原作を『基礎』として、そこから『発展』した物語のことを指すと考えられます。
 リビルド、というのは再建することであり、主に自動車業界やIT産業で使われている用語です。
 ウィキペディアによると、『文字通り事故、故障等で廃車となった部品、車体より使用可能な部品を外し正規品同様の性能を保持する為組み直す修復作業の事』らしいです。

 これを『長門有希ちゃんの消失』に当てはめると、なるほど、確かに原作からの『派生(スピンオフ)』というよりかは再建……『再構築(りビルド)』の方が合っているように思います。



 さて、ではそろそろ感想に入っていきます。
 前回で表紙や裏表紙については感想が終わっているので、今回は帯から入っていきたいと思います。

 私が持っているものの帯には、劇場アニメ『涼宮ハルヒの消失』(※1)の宣伝と、ヤングエース(※2)の宣伝、それに作品自体の紹介が入っています。
 ここで注目したいのは、表紙側に書いてある……えーと、こういうのをなんていうんでしたっけ……宣伝文句?でしょうか。
 『初めて…恋をしました。』という言葉があります。これだけ見ると完全に恋愛漫画ですね。いや、実際に『ラブ』コメディなんですけども。
 この言葉を考えてみると、つまり長門が抱くキョンへの恋心は初恋ということになります。当たり前ですね。まだこの『長門有希ちゃんの消失』における世界観が完全に掴めていないのですが、この世界における長門有希も、どう考えてもキョンが初めての恋愛対象です。
 初恋は実らないものである――という言葉もありますが、まあそれは置いておきましょう。漫画や小説の世界では、こういう言葉は覆されるものですから……というか、『長門有希ちゃんの消失』で長門の初恋が実らなかったら悲し過ぎますし。


 折り返しには、『長門有希ちゃんの消失』の作者であるぷよさんのコメントが載っています。
 ここに書いてあるのが、記事のトップで書いた言葉です。確かに上手いキャッチコピーだと思います。
 また、ぷよさんが「長門とキョンをいちゃいちゃさせて。朝倉さんはひたすらいい人で」と書いていますが、この作品を言い表すなら、これだけで事足りる気がします。むしろこれだけでOK、みたいな!(笑)
 特に朝倉さんファンには、この作品はお薦めだと思います。原作での朝倉さんの扱いは悲しいですからね……一巻で脱落したあと、消失で復活したかと思ったら……また同じように退場してしまいましたし。
 これまでにも、『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱』で、ちび朝倉さんが登場していますが(※3)、『長門有希ちゃんの消失』では、ちゃんとした形(人間大)で登場しています。
 そして彼女がいい味を出しているのですよ。彼女がいなければ『長門有希ちゃんの消失』は成り立たなかったであろうというくらいにいい味を出しています。
 その詳細はまた後日の感想でということで……。


 では、カバー裏に行きましょう。
 表紙の方では、どうやら長門と朝倉が本屋に来ているところみたいです。長門はこの作品でゲーマーみたいなので(※4)、攻略本を手にしています。この辺りの設定については、個人的に気に食わないところもあるんですが、詳しくは本編の方でそれに絡む話が出てきたら書きたいと思います。
 とりあえず、攻略本を見つけて、わざわざ朝倉にそれを言いに来たらしい長門(右下に、それを示す表現があります)が可愛いですね。なんといいますか、母親に買っていいかどうか許可を得に来た子供のようです(笑)。
 実際、長門は冷や汗らしき汗を掻いて、『ドキドキ』という擬音まで出しちゃってます。そして朝倉さんの気のない返事。実に二人の関係性がよく現れているワンシーンです。
 朝倉が手にしている本は料理に関する雑誌でしょうか? なんとなくそう思いました。思った根拠としましては、本の薄さと平台付きの本棚を前にしているからです。この大きさの本が小説なら、もう少し分厚くなるはずです。ファッション雑誌と言うことも考えたのですが(むしろ高校生であるということを考えればそちらの方が自然)、朝倉の性格を考えると、料理本の方が適切なような気がしたのです。
 そして、その手のものを本棚の前で立ち読みしているということは、雑誌である可能性が高いわけです。現実に本屋でも雑誌がおいてある周りには沢山の主婦や学生が集まって立ち読みしていますからね。
 まあ、本当のところはわからないわけですが……『攻略本のコーナーで、新しく出たゲーム攻略本を見つけた長門さんが、料理雑誌のコーナーで次なる料理をどんな物にしようかと考えている朝倉さんのところに、攻略本を買っていいかどうか訊きに来て、つれなくあしらわれている』図、と想像すると楽しいですね。このあと、きっと朝倉は、なんだかんだ言いながらも買ってあげるのでしょう。目に浮かぶようです。(私の中の想像では長門の財布は全て朝倉が握っています)

 で、カバー裏のもう片方。裏表紙のカバー裏を見てみましょう。
 おでんを食べている長門さんは、キョンと朝倉さんにリスのようだと思われているようです。リスの習性と言えば、頬にある袋に食べた物を入れておくこと。つまり、リス食いとは頬がパンパンになるまで物を詰め込んで食べる、ということなのでしょう。また、小動物チックな長門さんにはぴったりの形容かと思われます。
 ちなみに個人的なイメージとしては、長門は犬だと思っています。原作の長門が番犬のような役割を果たしそうな大型犬だとすれば、消失の長門はちょっとしたことにも怯える小型犬です。飼い主の顔色をうかがうようにして「くーん」と啼いてくる……みたいな。構われなかったらしゅんとうなだれ、構ってもらえると尻尾を振って喜びを身体で表現するような……。(個人のイメージなので、あまり気にしないでください)
 リスのイメージもそれはそれで合ってますしね。小動物チック、と言えばリス、というのは『らき☆すた』でも言われていたことですし(※5)。原作の長門をリス、と表現するのは少々躊躇われますが、消失の長門なら全く問題ありません。


 今回の感想はここまでです。いよいよ次は中身(本編)へと感想を進めたいと思います。
 やっとだよ!(笑)


(わりとどうでもいい補足)
※1:2010年2月6日から全国でロードショーされている『涼宮ハルヒ』の映画。ちなみに私は見に行ってません。
※2:『長門有希ちゃんの消失』が連載されている月刊雑誌。毎月四日頃発売。私は『長門有希ちゃんの消失』しか目当てがないので買ってません。
※3:同じ作者が書いているスピンオフ作品『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱』にて、朝倉涼子は原作と同じように長門の手によって情報連結を解除されますが、バックアップを取っていたために復活しています(一巻)。しかし何かの手違いで人形程度のサイズで復活してしまいまったのです。ゆえに『ちび朝倉さん』と言うわけです。なお、彼女は復活直後に長門によって捕獲され、長門の家で暮らすことになります。
※4:長門がゲーマー、という設定は、補足3でも書いた『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱』にて、長門有希がゲーマーという設定になっているのを、ギャグの一環としてそのまま取り入れたためだと思われます。
※5:『らき☆すた』で登場するキャラクター「小早川ゆたか」が、作中で行われた「皆を動物に例えると?」という話題の中で「ゆーちゃんは小動物チックだからリス」と言われています。その小早川ゆたかの身長は138cm。ちなみにこれは小学校4〜5年生くらいの平均身長です。彼女は長門と同じく高校生なので、相当な小柄だということがわかりますね。


『長門有希ちゃんの消失』書評 『1〜8P』編 に続く
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