『長門有希ちゃんの消失』 一巻 書評
『30〜32P』編
<今回の一言>

『ホントに仲良いなお前等』
byキョン



 今回の一言で上げたのは長門と朝倉の仲に対するキョンの評価なわけですが……全く持ってその通りかと。長門・朝倉レベルで仲良いのなんて、そういませんよ。
 朝倉はちょっと保護者入ってますけどね(笑)。


 シミになるから脱いで、という朝倉は本当に親のような立ち位置なんですが……御椀とお箸を置いてないのに脱がせようとするのは急ぎすぎかと(笑)。そんなの持ってたら脱がせられないですし。
 「あはははは、ホント仲良いなお前等」と朗らかに笑うキョンですが……のほほんとしすぎというかなんというか。まあ、たぶん妹関連で似たような光景を見たことがあるんでしょうね。それを思い出して「家族みたいに仲良いな」と思ったのでしょう。
 この作品のキョンは微妙にデリカシーやら何やらが足りてない印象を受けます(笑)。
 同年代の女子の着替えを見そうになっても顔を赤らめもしないのはどうなのかと思います。

 一コマ目の描写で気になったのは……長門さん、もしかして履いてない!?(笑)
 スカートがかなりきわどい位置までずりさがっていますが、あるべきはずのものが描写されていないのですけど。

 その後、辛うじて二人もキョンの存在に気付いたため、最悪の自体は避けることが出来ました。
 キョン君いるんだった!という朝倉ですが、一瞬前まで話していた相手を忘れないであげてください(笑)。
 「すまん!」と謝るキョンですが、それでも顔を赤らめもしていないところを見ると(長門はもちろん朝倉でさえ顔を赤らめているというのに)、この作品のキョンは本当に色々普通じゃないように思えます……。

 危うくキョンにサービスしてしまうところだった長門。
 カラシの飛んだ服を洗っている洗濯機の回転を見て心を落ち着けています。
 ある一定の動作をする物を眺めていると落ち着く、というのは、いうなれば単純な動きを追うことにより、頭の中を空っぽにする、ということなのでしょう。
 上手い例えが咄嗟に思いつきませんが、写経とかがそれに当てはまるのかもしれません。書き写すという単純作業を行うことによって心を落ち着けるというわけですね。

 しかしいくら落ち着くためとはいえ、洗濯機をじっと眺めている姿は確かに傍から見るとわびしいというか切ないというか。
 友達として止めるべき類のことであるのは間違いありません。
 どうでもいい話ですが、長門卓の洗濯機は結構新しい感じで、斜め式回転ドラム型、みたいなもののようですね。古くからある洗濯機なら縦になってて(そもそも蓋があったりしますし)回転が見れないため、こういう形式の洗濯機になったのでしょう。まあ、長門の家に新しいタイプの洗濯機があるのは不思議ではありません。

 さて、そんな長門の様子を見たキョンが止めた方がいいな、と口にすると、朝倉は「よしっキョン君ゴー!」とキョンを一人で行かせることにします。
 元はといえば朝倉がいきなり脱がせようとしたために陥っている状況なので、朝倉の行動は薄情なように映ります。
 しかし、ここで朝倉がキョンを一人で行かせたのは、長門とキョンを二人きりで話させたかったからでしょうね。
 長門と朝倉の仲の良さを考えれば、キョンにフォローをお願いする必要がある状況であるとも思えません。土下座とかおおげさな言動からしても、この騒ぎに乗じて二人の距離を縮めてやろうという朝倉の配慮なのでしょう。そう考えるとキョンはまんまと乗せられた形になります。

 次のページで、キョンは長門に声を掛け、まず隣に座ります。
 この辺りの絶妙な距離感の計り方は駄々をこねる妹相手に習得したスキルなのでしょうか。私だったら座ることなんてせず、背後から声をかける形になってしまいそうです。
 まず相手と同じ位置に立ち(座り)、その上で切りこみ方を探る。この辺りのコミュニケーションスキルっぽいのは見習いたいところですね……まあ、まずこんなラブコメみたいな状況に遭遇することがないですけど(笑)。

 まだ間合いが計れてないのか、逆に息がぴったりすぎるのか、二人は同時に話し始めようとして言葉が続かなくなってしまいます。
 こういう経験は電話などでよくありますね。あれは相手が話そうとしている予兆が電話では伝わらないため起きてしまう現象だと思われるので……この時点では、長門とキョンはまだそこまでお互いのことを理解していないということなのかもしれません。まあ、実質出会ってまだ一週間(図書館での邂逅はもっと前ですが)なので仕方ないでしょうね。

 今回はここまで。


『長門有希ちゃんの消失』書評 『33〜35P』編 に続く
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