『長門有希ちゃんの消失』 一巻 書評
『33〜35P』編
<今回の一言>

『腹属性ってなに?』
by長門有希



 今回の台詞は原作の『憂鬱』でキョンが「眼鏡属性ないし」と言った後、長門が「眼鏡属性って何?」と聞き返していたのが元ネタですね。
 原作ではその後、長門は眼鏡をかけなくなりました。視力など宇宙人的な力でどうにでもなるためでしょうね。


 キョンは先に話す権利を長門に譲ります。
 「どこまで見た?」と直球な聞き方は素直な長門さんだからこそでしょうね。逆に回りくどい聞き方っていうのは想像しづらいですが……。
 長門の質問に対し、キョンは「はら……ウエストかな?」と返答。ちなみにウエストは正確にいえば「胸と腰との間のくびれたところ」という範囲ですので、みぞおちくらいまで見えた、という感じでしょうか。
 この時のキョンの記憶の映像では、ブラジャーも見えてないようですが……むしろ逆につけてないようにさえ見えて危険な感じです(笑)。
 しかし、あははと笑いながらきっちり見てたんですよね。キョンは。世界が違えばナイフが飛んでいたところです。

 「ホントに?」と聞く長門がやたら可愛いです。上目づかいとまゆ毛の曲がり加減がグッド。
 「それに関しては」とキョンは言っています。素直に受け取るなら「胸(下着)は見えてないが、腹(ウエスト辺りまで)は見えた」という意味でしょう。
 「ほ、本当だぞ?」と念を押すキョンは、ここで初めてその顔を赤くしています。いまさらかよ、とツッコミたい(笑)。
 元々素直な長門さんは良かったと安心していますが……同コマでキョンが汗を掻いている描写があって……なんか邪推したくなりますね。

 「私のお腹、どうだった?」by長門
 長門の地雷発言(爆弾発言と違い、その言葉に対する反応によって悲惨な状況を作り出してしまう可能性のある発言の意)に対し、キョンは顎を伝うほどの汗を掻き、いままでにないほどに焦っています。
 長門は単に「もっとお肉付いてた方がいいのかな」という意味で聞いただけなのですが(笑)。
 その意図がわかる読者と、それがわからないキョンとでは意識の乖離が起こって、必死に考えるキョンをにやにやと眺めていられます。
 この辺りの構成は、ぷよさんがギャグ漫画をわかっていることを示しています。

 悩んだ末、キョンは朝倉に助けを求めます。
 女性代表朝倉!という言葉から、女性としてはこういう場合どういう解答が好ましいのかを聞きたかったのでしょうね。
 それに対し、朝倉はスケッチブックのようなものに「エロかったぜ(主にヘソが)」と言葉を書いて示します。完全に状況を楽しんでますよね朝倉さん(笑)。
 言えるかボケ!とはっきりいうキョンの台詞がもっともで(笑)。仮にこの通りにキョンが言ってたとしたら、たぶん洗濯機を眺めるでは済まなかったでしょう。その通りにいうわけがない、とある意味キョンを信頼しているがゆえの行動と言えます。

 援軍に見捨てられたキョンは、覚悟を決めて長門の問いに答えます。
 その答えがこちら→「いや特に問題ないんじゃないか? 俺 腹属性ないし……」
 身体が震えている表現と、かすれたフォントから相当恐る恐る口にした台詞であることがわかりますね。
 腹属性といった言葉に縁がなかったらしい長門は、純粋な疑問として「腹属性ってなに?」と返します。
 キョンはミスったことに気付き、半泣きになりつつ「今のなかったことにしてくれ……してください! お願いします!」と低姿勢で懇願。

 朝倉に「うわー」と思いっきり表情と動作で引かれてしまいます。
 お前にだけはそんな顔される筋合いねーよ、とキョンは心の中で思っています。
 まあ、確かに元々の原因・一人でフォローに行かせる・遊んでいる解答例、と三拍子そろっている朝倉にはそんな顔をされたくないでしょうね。

 何が正解なんだと震えながら考え込むキョン。
 この場合の『正解』とは長門の質問に対する無難な答えはなんなのか、ということでしょう。
 普通に「問題ないんじゃないか?」で止めておけば無難な答えになったように思います。

 今回はここまで。
 次回で二話の感想が終わればいいな!(願望か)


『長門有希ちゃんの消失』書評 『36〜39P』編 に続く
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