『戦闘遊戯』
序章




 撃たれた。


 肩を一発、腹を二発。
 銃弾を受けた俺は、もんどりうって倒れる。その様子を見た古泉隊員が、バリケードの影に隠れながら叫んだ。
「凉宮隊長! キョン隊員が負傷しました!」
 声を受け、後ろの方でR-20ライフル二十連発式を構えていた凉宮隊長が、鋭い声で指示を飛ばす。
「衛生兵! キョン隊員を本部へ連れて行きなさい! 有希隊員、古泉隊員は敵の迎撃を!」
 その声に反応して、T.R.S自動三十連発式マシンガンを両手に構えた有希隊員がバリケードから身を乗り出して両手のマシンガンを乱射。古泉隊員も援護射撃をする。
 その二人の援護で出来た隙を突いて、朝比奈衛生兵が俺に駆け寄ってきた。
「す、すぐに本部に行きましょう」
 近くで有希隊員と古泉隊員が乱射しているマシンガンの音に怯えながら、朝比奈衛生兵は俺を連れて後方に位置する本部兼救護所に移動する。
 そこにはすでに先客がいた。
「よう、キョン隊員? またやられたのか」
 本部の中で座り込んでいるのは、谷口隊員。
「うるせーよ。つか、お前の方がよくやられてるじゃねえか」
 俺が嫌味にそう返すと、谷口隊員は。
「これは俺の実力じゃねえ! 横暴隊長のせいだ! とにかく突っ込めって特攻かよ! それで倒れたら暫く捨て置かれるしよ! 何とかして欲しいぜ全く……」
 ぶつぶつ呟き始める谷口隊員。まあ同情してやらんこともない。確かに凉宮隊長の指示は『無謀』の一言だからな。まあそれはコンピ研どもとやったゲームの時によくわかっている。
「ところで谷口。そろそろお前、拘束時間が終わるんじゃねえか?」
 俺が時計を見て言うと、谷口も自分の時計を見て、慌てて立ち上がった。
「おっと。もう五分経ってたか。じゃあまた行って来る」
 壁に立てかけてあったST-3ショットガンを肩にかけ、颯爽と本部を飛び出していった。またすぐとんぼ帰りしてくるだろうけど。
 俺はハルヒにもう少し我慢強い戦略を立てさせるべきかどうか考えながら、拘束時間の五分が過ぎるのを待っていた。


 ん?
 俺達が何をしているのかって?
 そんなん、みたらわかるだろ?


 いわゆる、サバイバル・ゲームだ。












第一章に続く
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